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引用サイト:大紀元
https://www.epochtimes.jp/jp/2012/01/html/d89633.html
中国崑崙山の仙人(9) 真体 - 2
 私は、最近仏教の本の中で見た「不二法門」という言葉を思い出し、口に出すと、平先生は首を縦に振って頷いた。

 彼は、あれこれの気功を練習している父のことを心配し、三界の上には、一つの法門に対応する一つの行き先があり、その法門を練る人が最終的に帰着するところがあると言った。人はみな一つの「真体」(本当の体)を持っており、この真体は肉体の体ではなく、この空間では現れないため、一般の人には見えないものであるという。本当に修練するときは、この真体が作用するが、もし同時に二つ以上の法門を練習すると、真体が損なわれてしまい、三界の上のどこも、この人を認めないため、再び修練することができなくなるという。

 これらの法門は、なぜ継承者を一人だけ選ぶのか。なぜ、数百年、数千年をも費やして、継承者をひとりしか選ばないのか。それは他でもなく、選ばれた人は一番良い人でなければならず、必ず修行に成功できる人でなければならないからだという。さもなければ、もし弟子が大きな過ちを犯した場合、師父も弟子の罪の代償を支払わねばならず、弟子の罪を償うため、師父は自分の次元から下へと打ち落とされることもあるからだ。

 呂洞賓(りょ・どうひん、道教における仙人の一人)は、「動物を済度しても、人は済度しない」という言葉を残したという。なぜ彼はそのように言ったのだろうか。人間は、情、欲、怒り、恨み、名、利、色に迷うものだが、一様に捨て去ることができるだろうか。口では捨てると言っても、本当に捨てようとすると、心は刀で切られるかのように痛み、人は済度することが難しいからである。

 世の中にはなぜ宗教が伝わり、聖人も現れたのだろうか。それは人を済度するためであり、人類が堕落しないように保護するためである。彼らは天意を授かり、世の人々を救うために、世の中に降臨したのである。これは神の人間に対する慈悲であり、人間は自分の次元を超えた多くのことを知ることはできず、更に高い次元のことを知るには、修練してその次元に達しなければならない。気軽に、人にあまりにも高い次元のことを知らせると、それは神に対する不敬となり、人を害することにもなる。なぜなら、低次元の人は、あまりにも高い次元のことを受け入れることができないため、彼らは逆方向へ行ってしまい、永遠に信じなくなり、済度される機会を失ってしまうからである。多くのことは、我々が思うようなこととは違い、人が知っていることは本当に極めて少ないのである。それゆえ、人はどんな話でも大胆に口に出し、やってしまうのである。

 宗教には、それぞれ異なる一つの最終的な帰着場所がある。そのため、勝手にそれを掻き乱し、あれもこれも信仰してはならない。例えば、キリスト教の信者が最終的に帰着するところは天国である。一方、仏教には数多くの門派があり、門派ごとに最終的に帰着するところが違うため、同じ仏教であっても異なる門派を混ぜて練習してはいけない。そうでなければ、修練することはできなくなり、どこも彼を受け入れようとしないのである。

 また、平先生は父が理解することが難しいと思い、一つの例を挙げた。昆侖山の高所には、上善天真という、5千年あまりも修行した仙人がおり、彼の次元は、もう既に三界をはるかに超えているという。しかし、彼は若いころに他の法門を修練し、その法門の修練を終える前に、途中で今の法門に切り替えたため、真体が乱されてしまい、不純になった。そのため、両方の法門は、どちらも彼を認めなくなり、彼は三界の外における自分の帰着する場所を失ったのだという。次元は三界を超えているが、三界外に居場所がないため、彼はこの人間の空間に留まるしかなく、自分を助けて、最終的に帰着する居場所を与えることのできる、一人の聖人を待っているという。

 話の途中で、彼は突然自分の舌を噛んでしまい、口を閉じてしまった。それから、手を挙げて、自分の口を3回打った。彼の行動に、私と父はびっくりした。平先生がこのように異常な行動をするのは、目にしたことがなかったからだ。

 すこし時間が経つと、父は声を抑えながら、どうしたのかと聞いた。平先生は、落ち着いてからこう話した。上善天真は、ずっと私たちの会話を聞いていたのだ。そして自分の名前が人類に知られるのを嫌がっている上善天真は、人類に自分のことを言い出すのは、彼に対する侮辱だと思い、先程、平先生を処罰したのだ。彼の話を聞き、私と父は再び聞く勇気がなく、口を閉じてしまった。「頭を上げて3尺離れたところに神霊がいる」という言葉は、本当であったのだ。

 
(翻訳編集・柳小明)
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