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引用サイト:大紀元
https://www.epochtimes.jp/jp/2011/11/html/d99448.html
中国崑崙山の仙人(4)祖父の死
 二、修羅術

 それ以降は何の異常もなく、私は無事に「百日の関」を乗り越えることができた。 その後、当時の「百日の関」はいったいどんなものだったのか、と私が平先生に聞くと、平先生は、それは妖人による祟りであったと教えてくれた。それらの妖人たちは鳥や獣類に変身することができ、もっぱら赤ん坊の精気(せいき)を吸って生きている。実際のところ、彼らは元々普通の人間であったが、心がけが悪く、「修羅術」という邪法を練ってしまったために妖人になったのだという。「修羅術」を練ると、魂が体から離れられるようになり、小型の鳥や獣類に変身して、夜に人を害するが、たいした能力はないという。

 どうして彼らは赤ん坊の精気を取らなければならないのか、と平先生に聞くと、平先生は、このような邪法を練る人は世間の食べ物が食べられず、赤ん坊の精気によって命が維持されていると言った。それらの妖人は一般的に100歳を超えるものが多く、修練して成就したら、阿修羅(あしゅら)となり、修羅界に入って、修羅界の怪物となるのだ。

 平先生によると、普通の「百日の関」の妖人は、妖術があまり高くないので、普通の矢だけで撃ち落とすことができるが、私が遭った「百日の関」の妖人は100年あまりも練っており、まもなく阿修羅となるところだったので、一般の人にはそれを収めることができないという。「百日の関」を取り除いたその夜、平先生は1頭の小さな白龍を放ち、数百キロメートルも妖人を追いかけた。そしてある荒れ山に入ったところ、山の中腹で妖人は姿を消した。

 平先生が天目(両眉の間にある第三の目)で見ると、山の中腹に一つの穴があるのが見えた。入り口は石で閉じられ、誰も入れなくなっていた。平先生が超能力で入り口を開くと、中から腐った臭いが漂い、数百にも上る赤ん坊の骸骨が至るところに転がっていた。そこには、背をこごめて座っている、とても醜い老婆がいた。老婆は痩せてごつごつし、鼻は曲がり、目は緑色で、先の鋭い歯を持っていた。

 その老婆は骸骨の山の中に這いつくばり、身震いしながら、絶えず許しを求めた。平先生は、龍で妖人の老婆を縛った後、桃木の剣で頭蓋骨を突き通し、それを討ち取った。

 祖父は、私が3歳の時に世を去った。祖父は中国の伝統的な価値観を守り続けた世代の人で、誠実で、忠実で、受けた恩は必ず返し、悪事を働くことは決してなかった。しかし、現在の中国では皆の心が悪くなり、貪欲で、薄情になり、祖父のように慈悲深くて、尊敬されるような伝統的な老人はほとんど見かけなくなった。

 そんな祖父には、一生叶えることのできない願いが二つあった。母の話によると、祖父は死ぬ前に、父や叔母などの家族を側に呼び、かろうじて二つの指を伸ばしながら、自分は一生悪いことはしていなかったので、天と先祖に恥じることはないが、ただ気がとがめることが二つほどあり、どうしても補いたいと言ったという。一つは、民国21年(民国紀元、中華民国が成立した1912年を紀元(元年)とする紀年法である)、道端で7元入っている1袋の大洋(旧時の1元銀貨の通称)を拾ったことがあった。祖父は、そこで夕方になるまで落とし主を待っていたが、落とし主はなかなか現れなかった。仕方なく祖父はそのお金を家に持って帰ってしまい、当時は家の家計がとても苦しかったため、そのお金を使ってしまった。このことが、いつも祖父を苦しめた。祖父は、その時に使ったお金と同額のお金を出して、乞食や助けが必要な貧乏人たちに与えるよう父に頼んだ。父はしきりにうなずきながら、祖父の言う通りにすると言って、祖父を安心させた。

 続いて祖父は、二つ目のことを話した。それは、私が「百日の関」に遭った時にそれを解除してくれた、あの先生のことだという。あの先生は孫の命を助けてくれたが、名前さえ知らないといい、我が家には貴重なものはなく、唯一先祖から伝わる骨董があるが、いつの日かあの先生に会ったら、必ずその骨董品を彼に与えて恩返ししなさいと話した。

 父は祖父のベッドの前に伏せてうなずきながら、きっと祖父の言う通りにするから、心配せずに体の療養に専念するよう祖父を慰めた。父の話に祖父はやっと安心した様子で横たわり、当日の夜、静かにこの世を去った。

 (翻訳編集・柳小明)
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