引用サイト:大紀元
https://www.epochtimes.jp/jp/2014/01/html/d10112.html
「ああ!」ラティンバはこれを聴くと、心には刀で切られたような痛みが走り、全力で尊者が涅槃に入った洞窟に向かった。彼がチューバ地方の宝塔の形をした平地に到着すると、面前に師父が出現し、満面の笑みをたたえながら言った。「わが弟子ラティンバが帰ってきた」
ラティンバは、まだ涅槃に入っていない師父を見て、言い知れぬ喜びが沸いた。彼は師父に礼拝し、さまざまな質問をした。尊者は、これに回答し、最後に言った。「私は先に往くから、君は後から来なさい。将来、私が迎えにこよう。くれぐれも、私の話を忘れないように」。尊者は、こういい終えると、瞬く間に目の前から消えた。
ラティンバの心は引き締まり、飛ぶようにして尊者が涅槃に入った洞窟へと走った。 彼がそこにつくと、洞窟の外で多くの弟子たちと施主たちが、悲しみにくれて祈祷をしているのが見えた。彼は急いで洞窟に入ろうとしたが、面識のない新修の弟子たちがこれを遮った。
「あなたは誰ですか?洞窟の中には入れませんよ。勝手に尊者の聖体に触れることはできません」ラティンバは哀しくなり、尊者に向かって声を張り上げて歌を捧げた。
「師父よ!慈悲深く、恩師である師父よ!その広大無辺な御心で、この弟子の叫び声を聴いて下さい。その広大無辺な御心で、この弟子の苦痛を憐れに思ってください。師父よ!偉大な師父よ!」
ラティンバの悲痛な歌声が洞窟内に響き渡ると、尊者の遺体が輝いて光を発した。そして、突如としてその遺体は自然に燃え始めた。
このとき、洞窟内を守っていた高弟たちと施主たちは、その歌声を聞いて、急いで迎えに出てきた。しかし新修の弟子たちがラティンバを知らないため、彼を阻止した。そのため、彼はすぐに洞窟内に入ることができず、洞窟の外で七つの供養歌を歌ってからやっと洞窟内に入ることができた。
ラティンバの至誠の祈りと歌声は、尊者の魂をいたく感動させた。尊者は涅槃の中から突然人間に回帰し、復活して坐ると、新修の弟子たちにこういった。
「君たち新しい弟子たちは、そのようなことをしてはならない。ラティンバは人中の獅子であり、彼を尊敬しなければならない」。そして、尊者はラティンバに言った。「弟子よ!もう悲しまなくていい。師父の傍らに来なさい」
(続く)