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赤い壁の背後
インテリ層を主要な視聴対象とする豪州テレビ局・チャンネル9の番組「サンデイ(Sunday)」は7月17日、35分間の特別番組「赤い壁の背後」( Behind Chinese walls)を放映し、中国共産党官吏の亡命事件の背景とその影響を深く掘り起こした。番組の内容は、中共による法輪功への迫害、海外スパイ活動、中豪間の人権対話と自由貿易に関する交渉、豪州外相・ダウナー氏による法輪功の横断幕禁止事件、豪州外務省官吏が中共に協力し豪州法輪功学習者による江沢民起訴の妨害などを取りあげている (写真は同放送局のテレビ画面を撮影したもの)。

 *初めて大量の中共の内部文書を公表  郝鳳軍氏は初めて公に「顔を出す」

 番組では、陳用林氏と郝鳳軍氏が、中国領事館と天津の610オフィスから持ち出した大量の内部文書を初めて公表した。中共が、民主化運動家などの北京政府批判者や宗教団体などへの対策として、海外でスパイネットワークを浸透させ、さらに法輪功を最も重要な弾圧目標としている内幕が明らかにされた。

 中国国民にとって、これらはとっくに公然の秘密になっているかも知れない。しかし「証拠」を重視する西側世界に対して、これらの文書は比類のない説得力がある。多くの人は初めて目を開かれたような感じで、「赤い壁」の背後にある中共の真実の顔を認識した。同番組のレポーターであるサラ・ファガソン(Sarah Ferguson)氏の解説では、610オフィスのようなスパイ組織が豪州で活動していることに対する同氏の驚きと怒りを視聴者は容易に感じ取れる。

 その他に、610オフィス取締官であった郝鳳軍氏は、この番組の中で初めて自身の素顔を明らかにした。彼の弁護士バーナード・コラリー(Bernard Collaery)氏との面会シーンも放映された。


 *ダウナー氏は詰問され、中共に「協力した」ことがあると認めた

 ファーガソン氏に詰問され、ダウナー氏は豪州外務省職員がかつて中共に協力し、豪州の法輪功学習者による江沢民起訴を妨害したことがあると事実上認めた。あれこれと言葉を濁した後で、彼は豪州の外交官が、外国の公使館あるいは政府に、豪州の法体系がどのように運営しているのかを紹介するのは、「外交マナー」だと、言わざるをえなくなった。


 *ダウナー氏は中共が圧力を加えることを承認

  番組は、中共は江沢民起訴が豪州で行われた件について抗議し、しかも公の場でこの事を非常に「重視」すると発表したと言った。ダウナー氏はこれを認めて、そして「彼らはこれに対して文句を言った。私にも文句を言ったことがある。私は彼らに豪州政府はこの件に対して、どうすることもできないと伝えた」と語った。

 ファーガソン氏は「それは事実と異なる。陳用林氏は、彼は豪州外務省高官ジェフ・レイビー(Geoff Raby)博士のパスワード付きの機密文書を読んだことがあるとし、この訴訟事件において豪州外務省は中国側を助けていたと話していた」と述べた。

 *ダウナー氏は法輪功を貶めようとするが、たしなめられる

 三年前、豪州外相・ダウナー氏は中国の外交部長・唐家璇氏が豪洲を訪問する前日、法輪功学習者が在キャンベラ中国大使館前で、横断幕の掲げることを禁止するという命令を発行した。豪州の法輪功学習者はこのほど、この件についてキャンベラ高等裁判所に訴訟を起こしている。

 ダウナー氏は、ファーガソン氏のこの事件に関する質問に答える際、法輪功学習者がいつも高音用スピーカーで「宣伝(propaganda)」したため、このように決定したのだと弁護した。英語では、「propaganda(宣伝)」という言葉は通常他の人を強制的に洗脳するという悪い意味を含む。ファーガソン氏はすぐに彼の言葉を遮って「あなたは法輪功学習者が迫害を陳述することを『宣伝(propaganda)』すると言うのか?」と聞いた。ダウナー氏は再度自分で話をまるく収めなければならなかった。「曲解しないでほしい、私は法輪功に反対しない。私はウィーン国際公約によって、このようにする法律義務があるのだと言っているだけだ」と弁明した。

 *天安門広場で法輪功学習者を捕まえる場面や労動教養所内部を初めて放映

 陳用林氏と郝鳳軍氏の亡命事件の背景に言及し、多くの警官が天安門広場で法輪功学習者を捕まえる場面や労動教養所内部を放映した。同時に曾錚氏、李迎氏、章翠英氏、陳紅氏など、労動教養所で迫害を経験した法輪功学習者を取材し紹介している。


 李迎氏は、労働教養所で両手は後ろ向きに手錠をはめられ、3日間吊るしあげられ、その間食べることも、トイレに行くことも許されず、眠ることもできなかったと訴えた。李迎氏の弟・李良氏は今なお労働教養所に監禁されているという。

 曾錚氏は、ある法輪功学習者が追いつめられ狂った情景を目撃したと語った。その学習者は連続して5日間苦しめられた後、顔つきが変わり、それから笑い出した――追いつめられて発狂したのだ。

 *人権対話は「中国のひとり芝居」にすぎない

 人権対話については、「中国政府は世論の圧力さえなければ満足しているのです。人権対話は単なる密室の対話にすぎない。私達は意見を交換し終えると、それについては棚上げするわけです。次に会って同様に話し合いますが、結局棚上げにするのです。何の圧力もないのですから」と、実際にその対話の場にいた陳用林氏の言葉を引用している。

 番組では、国際法律家委員会のジョン・ダウド(John Dowd)氏のコメントを紹介した。同氏は、中豪間の人権対話は「意義のあるものとみなすことはできない」とし、その理由に「人権対話は中国のひとり芝居であり、密室の対話で人権問題はわきに置かれており、中国の思い通りになっている。中国が唯一反応するのは世論だけだ」と指摘している。

 ダウナー氏が「中豪の人権対話の成果に対してたいへん満足している」と語った後、映像は直ちに男性の写真に切り替えられ、「しかし、この男性は賛成することはできない(満足していない)」とナレーションが流れた。「この男性」は湖北省の法輪功学習者・欧陽明氏。彼の兄・欧陽ユ氏はメルボルンの詩人・作家である。彼はかつて弟が拘禁された件について、豪州外交部に救援を求めたことがある。法輪功のスポークスマン、ジョン・デラー(John Deller)氏は、欧陽明氏の件は、2001年から2003年の中豪両国間の対話の中で、4回ほど出されたことを証明することができる。しかし欧陽明氏はやはり2003年8月に苦しめられて死に至った。

 *中共のスパイは海外でどのように活動しているか?

 番組の中で、中共のスパイは通常ビジネスマンに偽装し、詐称する会社を利用し、それによって商売の名義で順調に豪州に来ることができる。任務の1つは、海外の法輪功の組織に浸透して、消滅させることである。すべてのスパイにはコードネームをもつ。中共のために情報を提供するのは、海外のビジネスマン、学生、コミュニティー指導者などである。甚だしきに至っては政府機構もある。

 米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、香港とマカオは、610オフィスが派遣したスパイの活動する主要な地域である。すべての省や州、都市には、必ず現地の法輪功組織やその集る場所、メディアと社会団体に対してスパイの特別行動チームがある。

 *自由貿易は「自由」ではない

 番組では、陳用林氏の話を引用して、中豪の「自由貿易」は実は代価がないわけではない、豪州に対する付加条件は二つあるとした。もし台湾海峡で戦争が勃発するならば、豪州は必ず中立を維持しなければならないことであり、もう一つは中国の人権状況を批判してはいけないと述べた。

 *さらに多くの中共の外交官が亡命するつもりなのか?

 番組の最後に、中共の駐オーストラリア大使・傅イン氏と陳用林氏の話を引用した。陳用林氏は中国領事館から逃亡したいと希望する唯一の人物ではない。陳氏は、中国領事館の中に多くの若い職員が彼と同じように考えている者がいると語った。

 ファーガソン氏は番組の最後に「陳用林氏と郝鳳軍氏は中共の政治体制から豪州に逃亡した初めての人ではない。現在、中豪双方とも、彼らが最後の人でもないと考えている」と締めくくった。